住宅設備メーカーのサービス担当者に、給湯器の元栓にまつわる現場の実情を聞きました。彼によれば、コールセンターに寄せられる「給湯器からの水漏れ」の相談の約半分は、お客様が自力で水を止めることができず、電話口でパニックになっている状態だそうです。サービス担当者がまず聞くのは「元栓はどこにあるか分かりますか」という質問ですが、これに即答できる方は二割にも満たないと言います。担当者は、給湯器の元栓が隠されている意外な場所についても教えてくれました。最近の戸建て住宅では、外観の美しさを損なわないように、給湯器を建物から離れた植栽の影や、目隠し用のフェンスの裏に隠して設置することが増えています。こうしたデザイン重視の設計では、入居者自身が給湯器の正確な位置すら忘れてしまうことがあり、いざ水が噴き出した時にどこへ行けばいいのか分からなくなるのです。また、寒冷地仕様の住宅では、給湯器の元栓が床下収納の中にあったり、洗面所にある小さな点検口の奥に隠されていたりすることもあります。これは冬場の凍結を防ぐために、あえて暖かい室内に栓を配置するという工夫ですが、これを知らないと一生懸命屋外を探し回ることになります。インタビューの中で担当者が最も強調したのは、元栓の種類による操作の違いです。最も簡単なレバー式は見た目で開閉が分かりますが、最近増えているのは「スクリュードライバー式」です。これはコインやマイナスドライバーを使って回すタイプで、突起がないため一見すると単なる配管の接続部に見えます。しかし、これこそが元栓であり、これがどこにあるかを知らなければ、いくらレバーを探しても見つかりません。担当者は「取扱説明書を読み直すよりも、一度実物を見て、触って、その場所を脳内の地図に登録しておくことが、どんな最新の安全装置よりも頼りになります」と語ります。給湯器という高機能な機械を支えているのは、元栓という極めてアナログでシンプルな部品であり、その場所を知ることは、住まいと真摯に向き合うことでもあるのです。
専門家へのインタビューから探る給湯器の元栓の重要性と隠れた設置場所